文章の校正は奥が深い
こんにちは、Webデザイナーのasuperuです。
現在、Web編集のお手伝いをさせていただいていますが、その中でこの度校正のお仕事もさせていただきました。普段は、校正担当の方が校正してくださった正しいくキレイな文章を編集しています。
今回、生の文章と向き合ってその大変さが本当によくわかりました。特に人の文章の校正となると、自分の文章の校正とはまた全然違います。人の文章を校正することの難しさと大変さを学びました。
Contents
校正とは?
「校正」と「校閲」の違い
まずは前提として、校正とはなんでしょう?
どちらも、印刷や出版のお仕事で使う用語だと思いますが、Web編集でも記事の校正と校閲はあります。どちらも文章を正しくすることですが、観点が少し違います。
校正・・・文字や文章の誤りを正すこと(誤記、誤字脱字など)
校閲・・・文章の意味や事実に相違がないかを確認すること(矛盾や、内容の真偽など)
ざっくり説明するとこんなイメージです。
ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」
2016年に放送されていた、石原さとみさんのドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」をご存知でしょうか。出版社の校閲部署に配属されたファッション雑誌の編集希望の主人公が、全然興味のない校閲の仕事に奮闘するお話です。
校閲以外のお話も多いですが、全く校正や校閲に興味のない人も初めて触れるにはとってもわかりやすいドラマでした。ちょうど、校正の作業をしていた時にTVerで再放送をしていたので少し見ていました。
初めてきちんと見ましたが、自分ごととして捉えるとよくその仕事の大変さがわかります。
簡単に「校正」「校閲」と言いますが、「文章を正しくする」という行為に正解はないと思います。
校正のポイント
あたしが校正の仕事の中でポイントだと感じたことをまとめました。誤字脱字は少なくとも対応した上で、何が大切なのか。
どれもとても基本的なことですが、スーパー初心者にはこのポイントすら見落としがちになります。自分ではできているつもりでいても、後から読み返すとできていないことが多いです。
1. 言葉をそろえる
言葉をそろえるというのは、使う文字表記をそろえるということです。
- 僕
- ボク
- ぼく
どれも自分の1人称ですが、記事の中でばらつきがあると、読み手が余分に疲れます。
- 7:00
- 7:00
- 7時
- 7時
- 朝7時
どれも同じ時間の表現ですが、半角英数字も含めて時間表記の仕方もばらつきがあると気になります。
何が正しい、正しくないというのではなく、同じ記事内や同じサイト内であれば基本的な表記ルールを設けて、それにしたがって校正していくとそれだけでも一定の統一感が出ます。
加えて、文末表現の「です・ます」「だ・である」の統一も必要です。カジュアル調や体言止めなども、文章のリズムをつける上で必要に応じ使うことはいいと思いますが、基本文体は統一した方が読みやすいです。読み手との距離感の取り方へもつながります。
2. 漢字を多用しない
校正用語では「ひらく」という言い方をします。
- すべり台、滑り台
- 嬉しい、うれしい
- 兄弟、きょうだい など
この「ひらく」という行為も、上記のそろえるというルールにのっとって校正します。
とにかく同じ表現をすることを意識することが、読み手の負担をなくします。
漢字を極力使用しないということではなく、必要以上に使用すると文章がかたくなったり、余分な意味がつけくわえられたりしてしまうのを避けるためです。
また、数字の使い方にも注意が必要です。
- 三つ → 3つ
- 一個 → 1個
このように、数の表記は基本漢数字は使用しません。
3. 文章のねじれと意味の重複
文章は、極力短い方が読みやすいとされています。
今回校正をするにあたり、何冊か本を読みました。そこでは、60字程度/文が推奨されていました。余計な言葉をとにかく削って、簡潔にすることがわかりやすい文章の基本と言われています。ワンセンテンス・ワンメッセージを意識しながら書くと伝わりやすい文章になるそうです。
Webで読む文章は、特にそうだなぁと感じます。紙のように読み込むことをせずに、だーっと流し読みすることが多いこともあり、あんまり長いと読み飛ばしてしまいます。
文章を長くすることで、主語と述語がねじれることも多くなります。
- 私の夢は、将来歌手になりたいです。
- カルシウムの多い食品は飲み物では牛乳で、食べ物では小魚などに多く含まれています。
一見正しい文章のように見えますが、主語と述語が合いません。
言いたいことをたくさん詰め込もうとすると起こりやすいのは、意味の重複も同じです。
- 飾りの装飾がとてもかわいらしかった
- イベント予約は、Webで2週間前に予約できます。
別の言葉で意味の重複することもありますし、同じ言葉で重複してしまうこともあります。
ちなみに、「第一回目」というのも、「第」と「目」を同時に使うことは意味の重複になります。意識していなかったので、確かに!とびっくりしました。
その他
言葉は生き物
「全然〜ない」が正しいと言われていた日本語も、「全然大丈夫」のように肯定に使用されるようになりました。「ら抜き言葉」と言われていた「食べれる」「見れる」も今では当たり前に使用します。
公式文書や論文など、よほど改まった正しい日本語の使用が求められる文章はさておき、日常使う言葉というのは時代によって本当によく変化します。
言葉の変遷の過渡期のことを「言葉のゆらぎ」と表現し、その手の言葉を集めた本なども出版されています。
言葉の変化を嘆いたり憂いたりするのではなく、楽しみながら言葉とつきあっていきたいですね。
誰かの書いた文章と向き合う大変さ
人が書いた文章には、その人が伝えたい思いがあります。何を言いたかったのか、何を伝えたかったのか。そういった書き手の思いを大切にしながら対応する校正は、自分で書いた文章を校正するよりもよっぽど大変です。
専門職とされている方は、おそらく仕事としてすでに割り切っている境地に立たれているかもしれません。ですが、初めて向き合うスーパー初心者にとって、その行為はとても荷が重かったです。ただ、作業をさせていただく中で、だんだんとコツというか判断基準ができてきました。
そして、たくさんの生の文章に触れることで、自分が文章を書くときの姿勢も少し変わった気がします。
いろんな校閲関連本を読んでの大切なことリスト
ひとつひとつとても大切なことですが、全てに言及していると文章量が膨大になってしまうので、いろんな本から学んだポイントだけ総ざらいします。
- 文章はシンプルに
- 余計な言葉ははぶいてシンプルに
- 1文の目安は60文字程度
- ワンセンテンス・ワンメッセージ
- 伝わる文章の型(結論が先、説明が後)をおさえる
- 文章の見た目を整える
- 適度な余白で読みやすい印象を
- ひらがなと漢字のバランスを整える
- 文のリズム(句読点、文末表現の変化)を意識する
- わかりやすい言葉を選ぶ
- 接続詞を正しく使う
- アイデアをメモする習慣をつける
- 語彙力をつけると文章が豊かになる
- より正確に伝える言葉選びができる
- わからない言葉をそのままにしない
- 紙の辞書とオンラインの辞書を併用する
- 段落をこまめに変える
- 紙面は5-6行で改行
- Webは2-3行で改行
- 読み手を意識した文章を書く
- 名文を書き写したり、まねてみる
- 書く前に「考える」習慣をつける
- 言語化を日常に取り入れる
- 具体例や根拠を添えると文章に説得力が増す
最後に
とにかく、校正は奥が深いです。今回校閲には深く触れませんでしたが、より奥が深いのは間違いありません。ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」でドラマになってしまうくらいのドラマが、実際には存在するでしょう。
校正の仕事をするまで、こんなにも校正について意識をしていなかったことを知りませんでした。こんなふうに文章を書くサイトを設けているのが恥ずかしいです。
文章が上手な人に、あたしはとても憧れます。
実際に自分も取材記事を書くことがありますが、いろんなことを意識できるようになりました。これからもっと、より読みやすい伝わりやすい文章を書けるようになりたいです。
良質な文章に触れること、自分の好きな文章を書く人のマネをすることは、文章力向上にも良いそうです。
Webデザインの勉強をしたことで、今まで気がつかなかったたくさんのことに意識が向くようになりました。Webに関わること以外でも、なんと新発見の多いことか。
無意識を意識に変えることで、日常はどんどん変わります。そんなことに気がつかせてくれたWebデザインの勉強に感謝します。
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